日本シリーズやアジアシリーズのことを書こうと思ったが、その前にWBCのことを触れないといけない。
日本代表候補に挙がった中日の5選手が、WBC辞退するというニュースに、どこのスポーツ紙もこの記事一色となった。
北京五輪の時も感じたけど、まだまだプロ野球は関心が高いジャンルだと改めて思い知らされた。
まず、11月21日に発した主なコメントを抜粋する。
原辰徳日本代表監督
「ほとんどの球団が協力的だけど…。事情はあるだろうが、1球団は誰一人も協力者がいなかった。少し寂しい部分もある。要請はしたけど、結果はNOだと。球団の方針?それは分からない」
山田久志投手コーチ
「残念なことに戦力として考えていた選手に辞退者が出た。原監督以下、我々もがくぜんとした。(故障などの理由で)仕方がないという選手もいるけど、ただ辞退、というのはいかがなものかと思うところもある」
与田剛投手コーチ
「明確な理由のない辞退選手もいた。野球界がまとまっていないことが、表に出てしまった。ファンの方のためにも、断る理由の説明は必要」
と、3人とも、中日と名指しこそしていないが、非協力的な姿勢に不快感を示した。
現場サイドから見れば、今こそプロ野球界が一丸となる重要性を痛切に感じているからこそ、首を傾げるのは当然だろう。
だが、これを受けて翌22日に中日の落合博満監督が強く反論。
落合監督のコメントを抜粋。
「球団も監督も行けとも行くなとも言ってない。本人らに意思を聞いたら、たまたま4人ともそういう話になった」
「(北京五輪代表の岩瀬と森野の)2人は『もう2度と行かない。断ってください』と言っていた。高橋と浅尾?今年1年働いたわけじゃないし、途中でファームに行った連中。『不安があるので、できたら辞退させてください』」
「(追加打診の)和田もいい気はしないだろ。誰か(別の選手)が断ったから自分のところに来たということ。選手にもプライドがあるのに、あまりにも人間感情を逆なでしすぎ」
「理由を書けとは書いていなかった。代表から紙を見せてもらったが、意思を確認する欄だけだった。こういうものに説明責任はいらないと思う」
「上原(巨人)や宮本(ヤクルト)は(代表)引退と言って認められているじゃないか。そういう一部の人間には配慮するのに、こっちはメッタ斬りするのか」
「公式戦以外のイベントへの参加の強制権はない。プロ野球選手は球団の社員ではなく、個人事業主。故障をした時の保障もないし、自分のことを考えるのは一番の権利」
「全部NPBがフォローしてくれるならいいけど理想論を掲げられて一番困るのは選手だ。みんな出てくれると思っているのが大間違い」
と、落合節を炸裂しながら約50分間にわたってまくし立てたわけだが、その後の世間の反応を見ると中日に対する批判が多い。
11月23日にジャイアンツのファンフェスタもあって、店頭でお客様の意見を聞いたが、中日に対して疑問を呈している方が圧倒的であった。
はっきり言って、出たい選手が出ればいいわけだし、逆に出たくない選手は出ないでいいと思う。
例えば、西武の中島選手が日本一になった後のテレビ出演の際、1日でも早く怪我を治してWBCに出たいと訴えていた姿を観て、そういう選手を応援していきたいと素直に思った。
実際中島は、このオフは大好きなゴルフを封印しWBCに標準を合わせるそうだ。
だから繰り返しになるけど、出たくない選手は無理をして出場する必要はない。
と書くと、この話は終わってしまうのでまだまだ書く。
ぶっちゃけ、怪我や手術後ならともかく、調整が不安と言い出すようではプロとしてどうなのかとは思うが、人それぞれ事情があるなら仕方がない。
なので、選手個人の批判は控える。
となると、やはり批判のターゲットは落合監督となる。
では、落合監督の一連の発言で問題点をいくつか挙げていきたい。
まず一目瞭然なのは、言い方に問題がある点だ。
落合監督の言ってることは分からないわけではないし、ある意味正論かもしれない。
だが、理由を書けとは書いてなかったと、まるで小学生レベルの言い訳をするようでは、正論も屁理屈に聞こえてしまう。
要するに大人気ない。
確かにこれだけ強く反論するのも、北京五輪で相当嫌な思いをしたからだろう。
だからと言って、そこまで水を差さなくてもいいのはもちろんのこと、球界全体が一枚岩で戦わないといけないときに、関係者、ファンを敵に回すのは如何なものか。
また、不思議なのは、マスコミに対して随分反発をしてたが、そんな厳しいことが書いてあったか。
かなり気を使った記事にしか見えなかったが。
あの程度の記事で反発するようでは、落合監督は狭い視野のうえに語られているにほかならない。
いまは、落合監督が現役だった頃とは時代が違う。
自分の球団が良ければそれでいい、という考えでは通用しない。
正直言って、娯楽の多様化もあってか、巨人戦の中継しても平均視聴率が10%を切る時代だし、巨人戦が中継しない日も多くなった。
仮に、筋が通っていたとしても、自分のところのチームが勝てばいいでは成り立たない。
さらに、上原と宮本の代表引退まで言及していたが、ここまで来るとただの言いがかりだ。
あの時上原と宮本は、後輩に国際戦の舞台を譲りたいと筋を通して代表引退を申し出ている。
だったら、岩瀬と森野も、北京五輪が終わったあとにきちんと自分の言葉で言えばいいじゃないか。
なので、筋が通るとか通らないは別の話になってくるし、球団としての姿勢も問題になる。
そこで、今回の騒動での一番の問題点が浮かび上がってくる。
結局はファン不在の騒動だということだ!
カッコつけて「球界は一枚岩じゃない」と、オレ流なのかどうか知らないが、ただ単に自分の存在をアピールしたいだけじゃないの?――
落合監督の発言の先に、ファンを見据えているのか?――
ファンのことを考えた上での発言には、微塵にも感じられない。
要は、球団のための選手、監督のための選手、選手のための球団、監督のための球団、そういう風にしか聞こえない。
キレイごとではないが、ファンのためじゃないことが分かったよ。
ここまで書くのも、今回の騒動で一番かわいそうなのは、中日ファンの方々じゃないかと思ったからだ。
肩身の狭い思いをしてまで、どういう視点でWBCを観るのかと言ったら微妙だ。
各球団はそれぞれのファンがいるからこそ成り立っているのは、誰もが分かっていること。
だが、球団に付いているファン全員がペナントレースしか興味がないと言ったら違うわけでしょ。
それをペナント重視の大義名分を突きつけて、WBCを厄介者扱いするから話がややこしくなるんだ。
一体プロ野球は、何で飯を食っているか?――
集約すると、これ以上もこれ以下もない。
このようなファン不在なことばかり繰り返していると、ファン離れが加速していき近い将来にサッカーに逆転されるもの時間の問題だ。
既に、20代の若者の間では、サッカーの方がプロ野球より人気を上回っている。
元々は、「日本代表」というネーミングはサッカー界の方が元祖だ。
そう考えた時、サッカー界では今回のWBCのような次元での、自信がないから出ないとかファン不在の発言等のトラブルはあるかといえば、そんな話は聞いたことがない。
プロ野球とサッカーでは、試合数が違うので、一概に全部が全部比較できないかもしれない。
だが、どうして問題が起こらないのか、そこを考えたら話は早い。
考えてみれば、サッカーの選手達は、シーズン中であろうが、怪我があっても喜んで代表戦に出場する選手が目に付く。
つまりこういうことじゃないか?――
サッカーの場合、日本サッカー協会から利益を分配される。
協会が責任をもって、所属チームにマイナスにならないように配慮するわけだ。
ところが野球の場合、今回のWBCにしても読売が一枚かんでいる。
未だに一部の特定の球団が偏っているようでは、今後もこのような問題は起こり続けるだろう。
まして、どこの球団も自分のところの興行を成立しないといけない。
国民のすべての誰もが納得できる選出をするのは無理にしても、NPBが日本サッカー協会のように厳格な管理の下で運営しない限り、ペナントと国際戦の両方の発展はないと思う。
おそらく落合監督は、そういうことを言いたかったかもしれないが、口には出していないので批判をした。
確かサッカーの方では、最初こそヴェルディに読売が全面的に金を出して、それこそ日本代表戦に口を出していた記憶がある。
だが、今ではそんなことはないでしょ。
ということは、プロ野球界もそろそろ…。
答えは簡単じゃないのか!
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