素晴らしい試合の連続で、今年の日本シリーズは最高だった。
王手をかけられて土俵際まで追いつめられた埼玉西武ライオンズが、日本シリーズ第7戦で読売ジャイアンツを下し、4年ぶり13度目の日本一を決めた。
私の中では、今年の日本シリーズは球史に残るシリーズだったと思う。
ホントいいものを観た!
確かに過去の日本シリーズで、4勝3敗の凄い攻防の試合はあった。
例えば、92年、93年の西武vsヤクルト戦とか。
でもここで言いたいのは、技術論ではない。
かといって、アンチ巨人としては最高の気分とか、そういう次元とは違う。
それは、総額20億円の巨大なチームを破ったんだから気分は痛快だ!
でもこの歴史的な激闘に対して、そういう小さな次元で語りたくない。
いちプロ野球ファンとして、アンチとかを抜きにして感動した。
では、今年の日本シリーズが何が良かったといえば、一人の気持ちがみんなに乗り移って変えたところじゃないかな。
人間ドラマを見れたってことだ。
その一人の気持ちとは、シリーズ王子こと岸投手の2試合で238球の力投に尽きる!
ホント岸の熱投が、チームの皆の意識を変えたと言っても過言ではない。
それにプラス、今回の日本シリーズは過去のシリーズとは一味違う。
要は、1試合1試合流れが変わる。
短期決戦だから、勢いでそのまま勝つケースが多いんだが、そうは行かなかったからこそ面白かった。
実際、第4戦と6戦での岸の熱投があってもそのままの流れで西武とは行かないし、逆に巨人にも言えた。
第7戦にしても、正直な話、坂本の本塁打で0-2になった時は巨人で決まりだと思った。
しかし、最後まであきらめなかったのはもちろんのこと、ゲームセットになるまでというか本当に最後の最後まで何が起こるか分からない日本シリーズだった。
最終回の1点差で小笠原、ラミレスと来たら、最後までハラハラだし、だからこそ観る側は没頭できたと思う。
それに何と言っても凄かったのは、7戦の8回に片岡がデットボールを受けた瞬間、普通なら痛いはずなのに全然痛い素振りを見せないで、当たってでも塁に出ようという気持ちが伝わってきた点。
その片岡はすかさず初球に盗塁を決めて、栗山の犠打で三塁に進塁し、中島の内野ゴロでホームインして同点に追いついた。
野球はヒットがなくても点が入る、ということを改めて認識した。
その後の平尾の逆転適時打にしても、とにかく集中力が凄かった。
ボールまでも戦力してしまった感じで、そういう点では凄く新鮮に感じた。
はっきり言って、西武はスターなきチームだ。
そんな選手達が成長したのも、渡辺監督の我慢の采配と選手との信頼関係だと思う。
口で言うのは簡単だが、中々出来るもんじゃない。
しかも日本一のインタビューの際、自らを「ダメ監督」と謙遜したが、誰一人そんなことを思っている人はいない。
選手をたたえるさわやかな姿勢に好感を持ったし、苦労人としての姿がよかった。
それと、昨日は(厳密には今日)深夜に各局へテレビ出演をしていたが、かなり疲れているのにも関わらず、渡辺監督を始め、平尾、中島、涌井、岸も誠心誠意答えていた。
インタビューひとつとっても、渡辺監督との信頼関係がつながっていると感じた。
最高の日本シリーズだった。
改めて感謝したい。
そうだ、シリーズ男の平尾といえば、元阪神出身だ。
衰えが見え始めた和田や当時は野村監督に使ってもらえなかった今岡の後継者として期待されていた。
ヒッティングマーチが、85年のV戦士平田と一緒だった。
確か、投手が右の時は星野(現在楽天二軍コーチ)、左の時は平尾で、二塁手の定位置まであともう少しだったことを今でも覚えている。
平尾は怪我も多い選手で、野村監督時代の01年に谷中との交換トレードで西武へ移籍したんだけど、その谷中も西武の中継ぎとして活躍している。
阪神にいればのタレレバではなく、素直に嬉しい。
最後に巨人について。
西武の日本一が決まった瞬間、原監督の背中が写ったんだが、なんか哀愁を感じた。
これも人間ドラマだ。
やはり勝負の世界は厳しい。
原監督に対して、WBCの監督への批判が出ているけど、決まったからには原監督の背中を押すべきだと思う。
批判は、星野北京五輪監督の采配までで終わり。
国を代表して頑張ってもらいたい。
あと、越智に関しては誰も責められない。
破れはしたが、今年の巨人は今までとは違う。
越智を始め、坂本、亀井、脇谷、山口、鈴木、東野、寺内など生え抜きの選手が出てきた。
金で他球団の主力を根こそぎ取らないで、若手を育てれば反感を買わないと思うけど。
ということで、阪神は優勝できなかったけど今年はプロ野球ファンとしては非常に良い年だった。
ありがとうございますではなくて、イッパイサンキュー!(私のプロレスでの決め台詞)
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